てん園長のホンネnote

お困り保護者の味方は、ちょっと辛口な元園長てん。愛あるホンネで届けます。

【履歴書:第4回】誰かの「声」に向き合った先に見えたもの

学童保育には、保育園や幼稚園とはまた違った「行事文化」があります。
私が勤めていた学童では、夏休みに保護者主催のキャンプが恒例行事。職員はヘルプとして参加していました。

このキャンプ、こどもたちの「自立心」や「協力する力」を育む貴重な体験の場。
特に最高学年(3年生)が火起こし、1・2年生がカレー作りという役割分担があり、5月ごろから学童でも“手作りおやつ”を開催し、調理練習をするのが毎年の流れでした。

 

キャンプは任意参加のため、不参加の子どもたちも調理練習の成果を保護者と楽しめるように、キャンプ前に「お楽しみ会」を開催するのも夏休み前の恒例となってました。

でも、学童行事は学校の無い日に開催するので基本的に土曜日。それは致し方ないことで、誰も疑問さえ感じていなかったと思います。もちろん、私もです。

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ある保護者のひと言が、私を動かした

ある日、サービス業のご家庭からこんな声が寄せられました。

「うちはいつも親が参加できなくて…こどもだけで行事に参加させるのが申し訳なくなるんです。なぜ土曜ばかりなんですか?」

正直、その保護者の様子は少しピリピリしていて、責められているようにも感じました。
でも、確かに――考えたことがなかった。

「なんで、行事は土曜日しかやらないんだろう?」
私の中に芽生えた、素直な問い。

そのひと言が、私の中の“当たり前”を揺さぶった瞬間でした。


「金曜の夜にやってみよう」

こどもたちとカレーを作る行事なら、
金曜の夜でもできるんじゃない?

そうひらめいて、当時の先輩職員に提案すると
「面白そう!やってみよう!」と即OK。
その包容力ある一言に、私はどれだけ救われたかわかりません。

けれどその後、近隣の他学童との会議で「平日夜に行事を計画している」と話すと――

・夜に行事なんて非常識だ
・職員が残業になるじゃないか
・今までやってないことをやるなんて
・たったひと家庭の意見に振り回されすぎ

まさかの総非難。
他学童の先輩たちからの圧力に、さすがに心が折れかけました。

でも、戻ってその話をしたとき、私の先輩職員はこう言い切ってくれたのです。

「したことないからしないって、理由にならないだろ。そんなことを言ってたら何も変わらない。」

その言葉に、私は勇気をもらって動き出しました。


結果は、大・大・大成功!!

金曜夜に開催したカレーイベントは、想像以上の反響でした。

普段は子どもだけ参加(学童は子どもだけで行事参加OK)どちらか片方の保護者が参加することが多い中、
**「仕事終わりだから夫婦で来られました」**という声が多数。

兄弟姉妹も一緒に来て、みんなでカレーを食べる。
なにより、あの保護者が嬉しそうにこう言ってくれたんです。

「楽しかったです。本当にありがとうございます。」

その言葉と、こどもたちの笑顔。
忘れられません。

そして、その年の学童利用者アンケート。
こども・保護者ともに満足度100%を記録。
この結果は、近隣学童でも聞いたことがないほどの快挙でした。


【てんのちょっぴり辛口コメント】

「今までやってない」は、やらない理由にはならない。
「誰も言ってない」は、声が届いてないだけかもしれない。

“たったひとつの声”を、ちゃんと拾えるかどうか。

それが、こどもや保護者との信頼を築く最初の一歩になる。

「声なき声」に耳をすませ、行動を伴わせることのできる大人でありたいな、と、あの夏の夜に心から思いました。


次回予告|【第5回】NYで学んだ“頼ること”の当たり前

海外で1年間。日本とは違う保育の文化に触れ、
「育児はひとりで抱えるものじゃない」と心から感じた日々。
現地でベビーシッターとして感じた、家族の在り方と社会の仕組み。

 

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