はじめに|予定の時間になると始まる“あのグズり”、どうする?
朝の準備が整って、さあ出発!というタイミングで突然の「行きたくない〜!」。
泣いて叫んで、玄関で座り込む…なんて経験、ありませんか?
そのたびに予定をキャンセルしたり、好きなお菓子やおもちゃでつったり、
ごまかしながらどうにか出発する――。
でも、そんな対応を繰り返していると、子どもはあるパターンを学習してしまいます。
「泣けば、やりたくないことを回避できる」
「わめけば、大人が機嫌をとってくれる」
今回は、そんな“泣いてなんとかする”習慣を見直し、**子どもが本来持っている「自分で気持ちを整える力」**を育てるためのヒントをお届けします。
「泣いて通そうとする子」
保育園でも、泣いて訴える子はたくさんいます。
でも、保育士たちは**「泣いている=要求を飲む」**という反応はしません。
少し厳しく見えるかもしれません。もちろん、泣いている子の気持ちは受け止めます。
でもそのうえで、
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泣いてもやるべきことはやる
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気持ちはちゃんと聞きながらも、大事なルールは譲らない
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落ち着いてから、言葉で気持ちを伝える練習をする
というような関わり方を続けます。
子どもたちはやがて、
「泣かなくても伝わるんだ」
「泣いてもすぐに自分の思い通りにはならないけど、大人はちゃんと気持ちを聞いてくれる」
ということを学んでいきます。
泣くこと自体を否定するのではなく、泣いた“後”の対応が変わっていくのです。
親が意識したい3つの対応ポイント
① 泣くことを否定せず、泣かなくても伝わることを教える
子どもが泣いて訴えてきたとき、大人が「泣かないで!」と強く言ってしまうと、
感情を抑えることだけを学んでしまいがちです。
そうではなく、
「今は悲しいんだね。落ち着いたらお話してみようね」
「言葉で伝えると、もっとわかるよ。」
といったように、泣かなくても気持ちを伝えられるという経験を少しずつ積ませてあげましょう。
② ルールは一貫して。特別は“本当に特別な時”だけ
「今日は特別ね」といった例外を繰り返すと、子どもにとってはそれが“日常”になってしまいます。
子どもは、大人のブレにとても敏感です。
基本のルールは一貫して守り、「特別」は本当に特別なときにだけ使うようにしましょう。
その分、子どもにも「いつもはダメだけど、今日は本当に特別なんだ」と伝わります。
③ 落ち着いたあとに、“伝える練習”を一緒にしてみる
感情が爆発しているときは、なかなか話が通じません。
でも落ち着いたタイミングで、
「さっきはどうしてイヤだったの?」
「こう言ってくれたら、もっとわかりやすかったかも」
といったように、言葉で気持ちを伝える練習をしてみてください。
これが「感情の整理」や「自己表現」の土台になります。
長い目で見て、心を育てる子育てを
「泣かれるとつらい」「早く収めたい」という思い、すごくよくわかります。
でも、泣かれたからといって対応を変え続けてしまうと、
子どもが“自分で気持ちをコントロールする力”や“問題に立ち向かう力”を育てるチャンスを失ってしまうかもしれません。
私が関わってきた子どもたちも、気持ちの切り替えが苦手だった子が、
少しずつ言葉で伝えられるようになったり、困っても自分で切り替えようとする姿を見せてくれたりしました。就学前はできなくても、その積み重ねが就学後に芽生え、見違えるように成長した姿を見せてくれる子もいました。
時間はかかっても、無駄じゃない。芽吹きのタイミングはこどもそれぞれ。その成長は確かにあります。
最後に|「泣いたって、愛は変わらない」でも、大人はブレない。
泣くことは悪くない。
でも、泣けば要求が通るという関係性は、子どもにとっても大人にとっても不安定です。
だからこそ、大人が
「あなたが泣いても、私は変わらない。ちゃんと見てるよ、でもルールは変えないよ」
という姿勢を持つことが、とても大切です。
具体的にどう対応すればいいか?
どこまで見守り、どこで寄り添えばいいのか?
そんな具体的な方法については、別の記事で詳しくお伝えしています👇
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おわりに
今日の行動が、すぐに変化につながらなくても大丈夫。
大切なのは、“長い目で見て、どんな大人になってほしいか”というゴールを忘れないこと。
「泣いたら勝ち」は、一時的にはラクかもしれないけれど、
本当に子どものためになるのは、感情に向き合い、自分の力で乗り越える経験です。
子育ては毎日の積み重ね。
保護者の愛情は必ずこどもに届きます。
少しずつ、少しずつ、一緒に前に進んでいきましょう。