はじめに|「なんで、こんなに泣くんだろう?」そんな日もあります
「また泣いてる…どうしたらいいの?」
「なんで、こんなに泣くんだろう?」
そんなふうに思ってしまう日、ありますよね。
そして気づけば、こちらの気持ちもいっぱいいっぱいに。
でも、それはあなただけじゃありません。
親も一人の人間です。心が折れることだって、当然ある。
むしろ、それは全世界共通の“子育てあるある”です。
だからこそ今回は、**「泣かれてもブレずに関われるようになるための考え方とコツ」**を、元保育園園長の立場から具体的にお伝えしていきます。
1|心構え編:「泣く=困らせてくる」と思わないこと
子どもが泣くと、まるで「わざと大人を困らせてるのでは?」と感じてしまうこともあります。
でも実際には、ただうまく言葉にできなかったり、自分の気持ちをどう処理していいかわからないだけ。
そして忘れてはいけないのが、親も人間であり、感情があるということ。
完璧な親を目指すあまり、感情を隠そうとする方もいますが、子どもに感情を見せること自体が悪いわけではありません。
「お母さんも今ちょっと悲しいな」「イライラしちゃった、ごめんね」など、家族の一員として“感情を共有すること”はとても大切な経験になります。
家族の中で、いろんな感情があっていいこと、その感情と一緒に過ごしていけることを、子どもと一緒に育んでいきましょう。
2|対応編:「気持ちは受け止める」「行動は変えない」
泣いているとき、つい「ダメなことはダメ!」と先にルールを伝えたくなりますよね。
でも、気持ちに寄り添うことを省いてしまうと、「どうせ話を聞いてもらえない」と感じ、もっと強く泣いたり、暴れたりすることもあります。
大切なのはこのバランス:
✅ 要求は通らないけれど、「あなたの気持ちはちゃんとわかってるよ」と伝えること。
✅ それを“繰り返し伝える”ことで、子どもは次第に安心していくのです。
たとえばこんな声かけを。
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「嫌だったんだよね、わかるよ」
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「でも今日は〇〇って約束だったよね」
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「悲しい時も、ママはちゃんとそばにいるよ」
💡ひとことアドバイス
発達段階にもよりますが、言葉でのやりとりができる子どもには、「どうすればいいかな?」と問いかけて、感情との向き合い方を一緒に考える声かけも効果的です。
(例:悲しい気持ちになったとき、どんな伝え方があるかな?)
3|時間編:「距離を取る」も立派な対応
子どもが泣き続けているとき、ずっと近くで向き合い続けるのがしんどいこともあります。
そんなときは、あえて少し距離を取るのも大切な対応のひとつです。
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静かなスペースに移動する
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そっと見守る
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「落ち着いたらお話ししようね」とだけ伝えて待つ
といった関わりも、感情の波を落ち着かせるために有効です。
💡ひとことアドバイス
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距離をとる場合は、必ず子どもの安全を最優先に。
例:大人の死角になる場所に放置しない、扉のある個室に一人きりにしない、など。 -
子どもがなかなかこちらに戻ってこられないときは、一定時間を置いてから、大人から優しく声をかけてみるのも◎です。
4|対応後編:落ち着いたら“振り返りの時間”を作る
泣き止んで気持ちが落ち着いたら、それは絶好の学びの時間です。
ただ「もう終わりね」ではなく、一緒に“感情の振り返り”をしてみましょう。
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「どうして悲しくなったのかな?」
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「どんなふうに言えばよかったと思う?」
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「ママもちょっとイライラしちゃった、ごめんね」
大人自身の気持ちも、“言葉にして伝える”ことで、子どもにとっても感情を言語化するヒントになります。
💡ひとことアドバイス
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子どもの様子に合わせて、手をつなぐ・膝に乗せる・抱きしめるなどのスキンシップで愛情を示すのもおすすめです。
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振り返りの最後に、「仲直りだね!」と握手をしたり、笑顔で終わることで気持ちを切り替えるきっかけにもなります。
5|それでもつらい日は、自分を責めない
完璧にできなくて当たり前。
イライラしたり、怒ってしまったりするのは、あなたが頑張っているからこそです。
なによりも大切なのは、怒ってしまったことをちゃんと振り返り、反省している“その姿勢”を自分で褒めてあげること。
どうにもならない日も、泣きたい日もあります。
そんな時は、周りの人に愚痴ったり、私に言ってくれても大丈夫。ため込まずに、吐き出しましょう。
おわりに|泣かれても、大人はブレずにいられる関係を
子育ては、心も体もフル稼働。
でも、“泣き”という感情の嵐の中でも、大人がブレずに構えていることで、子どもは「安心できる土台」を育んでいきます。
自分の感情と向き合える子、気持ちを言葉にできる子、問題に立ち向かえる子――
その土台は、毎日のちいさな関わりの積み重ねの中にあります。
焦らず、一緒に。
今日も一歩、心の力を育てていきましょうね。